アストロボーイの夢の後

先日、緊急地震速報が震度7を警告してみなさまが慌てふためいたところ結果的に誤報だったということで気象庁の方が平身低頭お騒がせしましたっていう映像を何度も見たのですが、まあ確かにお騒がせだったとしても結果的に何もなかったんですしそんなにかりかりすることでもないんではないでしょうか。本当に大地震が来るときにうんともすんとも云わないのに比べたらフェイルセーフとしては正しい方
向なわけですから。

そもそも緊急地震速報も、仮に正常に動作したとて何の役にたつのかしらんと懐疑的な向きもございますが、確かに現状、突然携帯電話がひーよひーよと鳴いたところで我々にできることはほとんどなく、ただただ力をぬいて南無三と唱えるだけでしょうか。しかしローマの道も一歩から、何事も世界の進歩の前には意味のないように思われた努力が必要なものです。およそ無意味かと思われた緊急地震速報の技術が、何時の日かニッポンの地震対策技術の突破口を開いていくことを、そしてそんな時代に自分の孫とこんな会話をすることを、I have a dream。

「おじいちゃん、地震って何?」
「地震というのはな、地面の下のエネルギーが爆発して地面をぐらぐら揺らしてしまう災害のことだよ。今は地震の発生を予測できるから前もって地震のエネルギーを散らしてしまうから地震が起きることはないけれど、昔は地震を防ぐことができなかったから、時に大地震が起きて大変な被害があったんだぞ」
「へー、怖いね」
「その昔は地震を予測することすらできなかったから、いつ地震が来るかもわからなかったんだ」
「ええっ?そんな怖い状況で生活してたの?」
「そうだよ」

こんな未来の妄想はとどまることを知りません。

「おじいちゃんってクルマ運転できるの?」
「昔はみんなクルマを運転したもんだ。今は自動車は目的地を入れれば勝手に走っていくけど、昔はみんな自分で運転しなければ動かなかったんだぞ」
「へー自動車なのに自動じゃないじゃん。」
「そうだな。クルマを運転するときは足でペダルを踏んで速度を調整しながら、ハンドルっていってクルマの向きを変える部分を手で操作しなくてはいけなかったんだぞ。」
「手と足を同時に動かしてたの、難しそう!」

「そういえば、昔はいろいろ不便だったんだぞ。例えば、、、今、暑い時はどうする?」
「えー、暑い時は神経回路をオフにするよ。我慢できないからさ」
「そう、昔は神経を直接オフにするなんてことはできなかった」
「え、そうなの?暑い時はどうしてたの?みんな我慢強かったの?」
「そんなことはないよ。昔の人だって暑い時は暑かった。仕方がないから、エアコンという機械で空気を冷やしていたんだ」
「えー!自分が暑いからって、わざわざ空気を冷やしていたの?なんか凄いムダ
なことしてたんだね…」

かつて一定の権威を持った全ての錬金術師にニュートンが引導を渡したように、私たちを取り巻く当たり前が粗暴で野蛮な前時代的価値観だと云われてしまう、そんな時代がいつか来るかと想い、ふくふくしながら寝ることとしましょう。